死亡現場の気温の推定
全ての死後経過時間(PMI)の推定法で、死亡場所における発見よりも前の気温のデータが必要です。気温はPMI推定の精度に影響する大切な値です。
まず気象庁のホームページ(https://www.jma.go.jp/jma/menu/menureport.html)から死亡場所に最も近い観測点の気象データを取得する。これを現場で測定した気温と比較して補正する。
中国のガイドライン(Ma, Wang, Dong & Wang, 2016)では「現場の3~5日間の環境温度を調査する必要があり、かつ気象観測所の温度データと比較し、回帰方程式を立て、差異を探し出し、それによって事件発生時間内の環境温度を推定する。昆虫の分布域の温度も考慮すべきで、次の7種類の温度を調査する必要がある。(1) 地面からの0.3mの気温、(2) 地面からの1.3mの気温、(3) 地表面温度、(4) 体の表面温度、(5)
地面に接する体の温度、(6) ウジ群衆の温度、(7) 地面下10cmの土壌温度。」と書かれてある。欧州でも電子データロガーを用いて5~10日間、1時間ごとに温度を記録することが推奨されている(Amendtほか、2007)。また、建物内では内部温度の変化が外部温度の変化に1~3時間以上遅れることが多いため、回帰を改善するには時間的な補正が必要である(Amendt, et al.,
2007)。さらにJeongほか, 2020によると気象台の温度のみを利用した場合、LOESS回帰が良く、風量、風速、湿度、降水量、季節(春、夏、秋、冬)、測定時間(時間の四分位:0:00-6:00、6:00-11:00、11:00-17:00、17:00-0:00)も組み入れた線形SVMモデルが最も精度が高いことが示されている。