土壌動物調査と環境指標

 環境アセスメントの対象は生産者の植物と消費者の動物で、分解者が抜けている。分解者の土壌動物を加えることで、より生態系を全体的に把握したほうが良いと思う。

 以下、主に青木 淳一(2005)「だれでもできるやさしい土壌動物のしらべかた―採集・標本・分類の基礎知識」を参考に、土壌動物による自然の豊かさの評価(青木、1989)を用いる場合の調査方法や環境指標を紹介する。

また、この本の書評(島野 智之さん)にもコツが詳しく書かれてあります。

土壌動物の定量調査

  なるべく地面が平らで、落ち葉がふかふかと積もっている場所が良い。落ち葉は一番上の乾いた落ち葉はどけて,その下の湿った腐りかけた落ち葉ややわらかくなった落ち葉を手づかみにして袋に入れる。

 

大型土壌動物

  1. 50cm四方の正方形を作り、その中の落葉と腐植層の土を採取。深さは10センチメー トルも掘れば十分。
  2. ふるいは網の目が3〜5mmくらいのもの。(調査で1cm目のふるいを使ったとこあるが、持ち帰る土の量が多くなりすぎる。)
  3. ビニールシートに土壌を広げて大型土壌動物を採集。個体数はカウントしない。

小型土壌動物

拾取り法 堆積する落葉、落技、樹皮などの植物遺体、キノコや蘇苔類、土壌を、少しずっ拾い集め、約2リットル分を1試料とする。

打ち込み法採土缶を土に打ち込み採取。縦横10cmx深さ5cmまたは5cmx4cmx深さ5cmのものが使われている。空き缶を利用して作ることも出来る(PDF)。採取する土壌は2リットル。

拾取り法の方がその場所のいろんな環境から採集できるので、種組成を調べるためにはこちらがおすすめ。

 

 調査時期は青木(2005)によると大型土壌動物は5月から9月くらいで、小型土壌動物はほぼ1年中。ただし、ササラダニが注目されているなら10−11月を中心とした晩秋が良く、7月中旬ー8月は避けたほうが良い(青木1995)。でも、6月から7月上旬の調査でも結構入ってました。ミミズは6月中旬 〜7月中旬に成体となって8月になると個体数の減少が始まるので(石塚、2014)、7月中下旬あたりが良さそう。

 大雨が降って地面がいちじるしく濡れている時は避けたほうがよい。

 

 土を持ち帰るには虫が蒸れて死なないよう、大きめの紙の茶封筒が通気性や吸湿性に優れ良い。私は近場の調査では土嚢袋を使ってます。

ツルグレンで抽出

 土は厚さが7、 8センチメ ー トル以下になるようにする。網目は2mm前後。濡れた土は新聞紙でくるんで水分を吸収させてからツルグレンにかける。ザルの底にガーゼを1枚敷くと土の粒はガーゼにひっかかって落ちないが、 体の小さな虫はガーゼの目を押し広げて下へ落ちる。ちなみに私はガーゼを使ったこと無いけど近々試してみたい。ガーゼに幾つか切れ目を入れて少し大きめの虫も落ちるようにしたらどうだろうか?

 私は最初に土を入れた時に砂が落ちるので、この砂が落ちきった後にエタノール容器をツルグレンの下に設置してます。詳しくはこちら。

環境指標

 土壌動物特有の指標として下の3つがよく用いられます。しかし、周囲の環境の割には値が低かったり、人為的な自然が森林よりも高くなった利することが時々あります。

土壌動物を指標とした自然の豊かさの評価(青木、1989)

主に目レベルの同定でも出来るので、よく用いられる。土壌動物全般を対象として、32の分類群に点数付けされており、出現した分類群から合計点を求める方法。青木 淳一(2005)に詳しく書かれてあります。

MPG分析(青木,1983)

ササラダニの接門類(M群),無翼類(G群),有翼類(P群)の3つの分類群に注目する.MPG分析Iでは種数の割合に,MPG分析IIでは個体数の割合を求める.一般的に森林土壌中ではG群が多く,高木林の存在しない環境ではG群が減少し,代わりにM,P群が増加する傾向がある.またMPG分析IIでは, M群の個体数割合と土壌有機物含有率および土壌体積含水率との間に強い負の相関があり,G群の個体数割合とリター重量との間に正の相関が知られている(伊藤ほか,2009).

ササラダニによる自然性の評価(青木,1995)

主要な100種を出現環境ごとにA群は5点,B群は4点,C群は3点,D群は2点,E群は1点と得点付けされている.出現種から得点の平均値を求め,自然性が高いほどこの値が高くなる.また,また原田,芳村(2015)では平均値ではなく合計値を勧めている。

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ササラダニによる自然性の評価100種.xlsx
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文献

青木淳一 (1983) 三つの分類群の種数および個体数の割合によるササラダニ群集の比較(MGP 分析),横浜国大環境研紀要,10: 171-176.

青木淳一 (1995) 土壌動物を用いた環境診断,沼田真(編):自然環境への影響予測-結果と調査マニュアル-. 202-209, 千葉県環境部環境調整課,千葉県

青木(2005) だれでもできるやさしい土壌動物のしらべかた―採集・標本・分類、合同出版。

石塚 小太郎 (著), 皆越 ようせい(写真) (2014) ミミズ図鑑、全国農村教育協会

伊藤大輔・福永健司・吉田寛 (2009) 緑化法面における土壌動物と環境要因との関係. 日本緑化工学会誌,35(1): 206−209

原田洋・青木淳一 (1997) ササラダニ類による自然の豊かさの評価の事例と検討. 横浜国大環境研紀要, 26,81-92

原田洋・芳村工 (2015) 「土壌動物 その生態分布と多様性」. 東海大学出版部,神奈川県